2018年12月29日

2019年2月23日(土)全国有機農家の集いin琵琶湖(日本有機農業研究会全国大会)の報告



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■■■ 大会実行委員会事務局 南村多津恵の言葉 ■■■

滋賀県庁の森野参事が、すばらしい大会を滋賀で開いてくれてありがとうございましたと言ってくださいました。今後の施策のヒントが得られたそうです。2年ほど前に滋賀県はやっと有機農業の推進に力を入れようという方針になったところで、今回はタイミングがよかったとおっしゃっていました。

また、有機のお米農家の中道農園さん(初参加)が、日有研は生産者と消費者と流通とみんなが集まっていて意義があると言われていました。生産者だけで集まっていても、食べ手の意見が入らないからダメなのだと。滋賀県内でそういうネットワークがないかなあと言われていたので、これはやはり働きかけどきなのかも。ということで、滋賀県民として、きっかけをいただくことができました。

会場満員の参加者。全国から285名参加。
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■■■大会の感想 土屋憧真(北海道大学)■■■


碧く美しい琵琶湖のそばで、先日に全国有機農業の集い2019が開かれました。いのちの大切さを心得た人たちの講演を聞き、愛情あふれる生産者たちと交流し、とても実りのある有機的な一日となりました。大会に参加して感じたことをここに綴ります。


決議文を読み上げる京都府南丹市若手生産者児島ひかるさん
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●特別講演 樋口英明福井地裁元裁判長(大飯原発差し止め判決を出した人) 

原発と有機農業という、一見何の関わりもないテーマに見えたのですが、樋口英明さんのお話は有機農業の理念と深く通じているなと思いました。それは、どちらも「経済成長、企業利益、効率性」といったものを「いのち、生活、環境」よりも優先するこの社会に鋭く訴えかけているからです。原発は政治や財界と深く癒着しているため、利益を求める巨大な勢力が原発を止めないよう必死に権力を行使しています。その構図は、遺伝子組み換え食品や農薬、食品添加物の問題と重なるところがあります。

お話から樋口さんは、命を大切にした社会を熱願しているのだなと思いました。お話の最後に、「問題を知ってしまった以上、このことを特に若い人たちに伝えていかなければならない」という言葉がありました。原発も農業を食品も、問題意識を持った人たちが「NO」を示さない限り、社会はおかしい方向に突き進んでしまいます。より良い社会を目指すためにも、まだまだ私たちはやらなければならない仕事があるようですね。


樋口英明福井地裁元裁判長
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●基調提言

かつて有機農業が始まったばかりの頃、有機農業は「勇気農業」と呼ばれていたと聞いたことがあります。変わり者として周りの農家から誰にも相手にはされなかったですし、農薬や化学肥料を購入しないから、農協や役所からにも嫌がられる存在でした。有機農業の黎明期、有機農家は孤独に苛まれていました。それでも有機農業を続けてきた所以は、ひとえに消費者が安全な食材を希求していたからであり、消費者が有機農家を買い支えてきたからである。生産者と消費者が協力し、一体となって安心できる食材を生産し消費してきたからなのでしょう。

現在、有機食・自然食はかなりの市民権を得ています。場所によれば、有機食材も手に入るようになりました。今後はさらに有機が当たり前になってくる時代になってくるでしょう。ですが、その背景には先人たちの絶え間ない努力があったこと、そして有機農業を成り立たせるには、生産者と消費者が共に提携しなければならないことを忘れないようにしていきたいです。

よく有機で農業を営んでいる生産者から、「有機認証をとることはしない。手間もかかるし、コストもかかってくる」という言葉をよく耳にします。有機認証を得るために生産者がどれだけ頑張っているのかも知らずに、ただ食べ物を食べる王様のような消費者でした。先ほど生産者と消費者の連携が大事と述べましたが、それにはこれまでの認証システムが障害になっているように思います。どうして、有機食品と名乗るための負担を生産者だけが一方的に負担しなければならないのでしょうか。そして、そもそもなぜ有機食品と名乗るのに手間が必要なのでしょうか。今回のPGSのお話は、現行の認証制度の問題にとどまらず、有機農産物の市場が拡大し、有機農業であっても生産者と消費者の距離が離れてきている現状を今一度見つめなおす機会になればいいなと思いした。

●分科会(第2分科会 「タネを守るということ」)

最近種にまつわる話が注目を浴びてきています。その理由はもちろん種子法の廃止と種苗法の改正でしょう。種が危ないといわれているが、その法律がどのように改正されたのか、それが農民にとってどのような影響を与えるのかということは、詳しくは知りませんでした。そのため今回のお話は、種に関することの現状と課題を知る良い機会になりました。

 結論から言えば、今回の法改正はそれほど恐れるものではないということがわかりました。自家採種が禁止されるものが増えたとはいえ、それは品種登録されているものに限られるのです。品種登録をされているものは化学肥料や農薬を使用することを前提としています。有機農業は、農業が近代化される以前からずっと続いている、在来種や登録外品種のほうが向いています。なので、それらの種を取り続けて、「種を取ること」を忘れないようにすればよいのです。

この話を聞いて私はとても安心しました。それまでは法律が改正され、農家がついに種を取ることができなくなったのかという杞憂をしていました。逆に、今回の法改正によって、自家採種の重要さがわかり、自家採種の運動が一層広まるのではないかと思います。

近代農業の普及により、種は種苗会社が決められてしまい、作物の多様性が失われたように思います。スーパーには見た目がよく、薄味、甘味の野菜ばかりが並んでいます。かつて、固定種を販売している、野口のタネの野口勲さんは「種苗会社が野菜をどんどん不味くしている」と断言しました。自家採種を辞めてしまうと、種苗会社による「味の均一化」がおきかねないと思います。

私は、あくまでも消費者です。種を取る行為は野菜を育てている生産者にしかできない行為です。ただ食べるだけの私たち消費者ができることは、固定種や地域種の味をきちんと理解することです。苦味、酸味や濃い味を嫌がるのではなく、積極的に食べていかなければなりません。品種が味の決め手になるといわれています。消費者はただ、おいしいと味わうのではなく、この作物は登録品種なのか登録外品種なのか、F1種なのか固定種なのかといった、種レベルでの興味をもっていかなくてはなりませんね。


分科会の様子
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いのちを大切にする社会をつくるための実践としての有機農業。その発展には作り手と食べ手がつながり支え合う「提携」をすすめることが不可欠です。そのための鍵を握る新しいシステム、PGS(参加型保証システム)の創設について考えるとともに、次の時代を見越し、めざす未来のビジョンや歩むべき道筋を、生産・消費・流通の立場を越えて語り合いましょう。

■3.11後では初の運転差し止めを命じる関西電力大飯原発3,4号機をめぐる2014年の判決を書いた樋口英明福井地裁元裁判長による講演

■有機農業の未来に明るい希望が生まれるワークショップ(総合地球環境研究所FEASTプロジェクト企画)

■ 提携の次のステージをめざす提携推奨PGSプログラムの実施についての提言

■ テーマを深める分科会、種の交換会、手作りマルシェと、

 まさに有機的で濃密な2日間を過ごします。
  ※個別の参加も可能です。

■会場:アヤハレークサイドホテル(滋賀県大津市におの浜3丁目2-25)
    JR東海道本線(琵琶湖線)膳所(ぜぜ)駅より徒歩10分
     または大津駅より送迎バスで5分

■■■プログラム■■■
【第1日 2月23日(土)】
■プレ企画 9:00〜11:00

 ワークショップ「有機農業が当たり前の未来」
    進行 総合地球環境学研究所FEASTプロジェクト

■開会式 13:00〜13:30

■特別講演 13:30〜15:00
「いのちを大切にする社会をつくる―原発訴訟と裁判官の責任―」
    樋口英明氏(福井地裁元裁判長)

■基調提言 15:00〜16:00
「有機農業の原点とPGSの考え方」槌田劭(使い捨て時代を考える会)
「PGSの世界の流れ」橋本慎司(兵庫県/有機農家)


■■■分科会 16:30〜18:30■■■
■ 第1「すてきな有機農業の技」話題提供:魚住道郎(茨城県/有機農家)、道法正徳(株式会社グリーングラス) 進行:橋本慎司(兵庫県/有機農家)

■ 第2「タネを守るということ」話題提供:林重孝(千葉県/有機農家)、 山根成人(ひょうご在来種保存会) 進行:松平尚也(京都府/有機農家)

■第3「子どもの給食をオーガニックに」 話題提供:秋津元輝(京都大学農学研究科)社会福祉法人 照治福祉会 浦堂認定こども園(大阪府)、末永博子(枚方食品公害と健康を考える会)、進行:岩島史(総合地球環境学研究所)

■第4「人をつなげる提携推奨PGSを作ろう」話題提供:槌田劭(使い捨て時代を考える会)、久保田裕子(日本有機農業研究会) 進行:平賀緑(大学非常勤講師)

■第5「あなたの就農、応援します」 話題提供:福原圧史(NPO法人ゆうきびと)進行:児島ひかる&児島阿彌(使い捨て時代を考える会)

■第6「琵琶湖からの発信 山から海まで、そして暮らし」
話題提供:中村清作(琵琶湖漁師) 進行:仁木貴之(安全農産供給センター)

■オーガニック交流会(懇親会)、大会アピール 19:00〜21:00
■夜の語らい 21:00〜23:00

【第2日 2月24日(日)】

■■ 種苗交換会 8:00〜9:45
※自家採種用の種子の交換です。交換・提供する種子を持参の方は、 当日に大会受付で登録してください。持参の種子類は、小分けにして袋に入れ、受付時に配布する書類に 説明を書いてください。 なお、種子の持参なしで種がほしい方は、1000円以上のカンパで参加できます。
 日本有機農業研究会総会 10:00〜12:00

■■全国有機農家らのここだけマルシェ 10:00〜13:50
  マイ箸、マイ食器、マイバッグをご持参ください。
  ※出店者を募集しています。
  12月27日(木)〆切。詳細は以下のURLをご覧ください。
   http://bit.ly/2Pbvuko
 閉会式 13:50〜14:00

■申込み・問合せ:日有研全国大会2019実行委員会事務局
    (使い捨て時代を考える会・安全農産供給センター)  TEL 050-7119-5449(専用) FAX 0774-24-9512(安全農産供給センター)      E-mail : joaa2019biwako@yahoo.co.jp

■■分科会報告■■ 
日本有機農業研究会機関誌『土と健康』2019年6月号より

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■■なぜびわこで大会?■■
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■■大会総括■■ 日本有機農業研究会 機関誌『土と健康』4・5月号

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2018年12月10日

なぜパック野菜?ー環境を守るということは野菜を選ばないということ

           
■■「選ばない」という選択のススメー自然のレジリエンスの一部になろう■■
             山本奈美(京都府京北町有機農家)

「環境を守るということは野菜を選ばないということ」ということばに少し追加させてください。

私は今、「パック野菜」という食のあり方に注目しています。

「私はアオムシとちゃうっ」と言いたくなるほど毎週毎週届く菜っ葉類。

夏には「キリギリスじゃないっ」と言いたくなるほど届くきゅうり・・・

大きさも形もいろいろ。虫と「分けっこ」する必要もあるかもー

「パック野菜」は、人間の都合ではなく、「畑の都合」に左右される食のあり方です。

7月パック野菜
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1月パック野菜
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「野菜を選ばない」ということは、「誰かが私のために選んでくれている」ということ。その「誰か」とは誰なんでしょ?

安全農産供給センタースタッフ?ーいえいえ、彼らも「きゃー菜っ葉がこんなに(>_<)」と叫びながら、パック数を数えてだいたい等分になるように分け分けしているだけ、なはず。

安全農産供給センターの朝の光景
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では、生産者さん?ーいえいえ、彼ら・彼女らは土をつくり畝を立てて種を播いて野菜のお世話をされてきましたが、実る、実らないまではコントロール不可能です。

見事な少量多品目の畑
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もちろん、農家さん(特に有機農家さん)は、「適期適作」、季節に合った野菜を育てます。だって季節外にトマトや茄子を育てても実らないからです。

これは、農家さんが野菜を選んでいるように見えますが、実は発想を転換するとそうではありません。自然が「播いてもいいよ」とGOサインくれた野菜を育てているー自然が決めて、農家さんは自然のご機嫌を伺いながらお世話をしている、と言った方がいいかもしれません。

「篤農家さん」とは、その経験と知識から、自然の声を逃さずキャッチし、適した行動を実践することに長けている方だと思っています。

そこで最初の問いです。今日、パック野菜で届いた野菜を「私・あなたに選んでくれた」のは、誰でしょう?
私は、「自然」が私・あなたのために選んでくれている、と考えています。

暑い日が続いたら水分たっぷり蓄えた夏野菜を「選んで」くれる。
寒い日が続いたら、「免疫つけてね」と栄養たっぷりな冬野菜を「選んで」くれる。
菜っ葉どっさりなのは、そう、あなたとご家族の今週の食卓に必要だから!

必要としているのは、私やあなたのカラダだけではありません。環境が、その土が、その地域が、その野菜がそのときそこで育つことを必要としているのです。

ご存知の方も多いとは思いますが、土に生えてくる「雑草」は、その土が必要としている養分を供給してくれる雑草です。酸性土だとスギナが繁殖しますが、スギナたくさんミネラルを補給するともうスギナは生えない。次の「必要な草にバトンタッチ」されます。

野菜にもそんな役割があるのではと思っています。

もちろん、現場で選別をして配送され供給される、という現実はあります。農家さんが代々、気候に適した野菜の種をつないできたからこそ存在する野菜もたくさんあります。

でも、「あまりにもおいしいからつい種を保存した」という農家さんがいたりするように、農家さんがそう「したくなった」のも、自然がそう仕向けているのでは、と想像してみるのです。

「この野菜をこの農家に育てさせるとしよう。そうすれば、あの虫も生きていけるしな。街に住むあの家族もこの家族も最近この栄養が不足しとるしな。ウッシッシ。まんまとはまりよったわ」なんて言ってるんじゃないか。と考えると、なんだか楽しい。

実はこれ、「自然のレジリエンス(回復力/復元力)」とも言えます。自然は常に、人間やその他の「介入」を受けて影響を受けてきました。それでも、ある一定程度の介入なら、回復する力を持っています。それをレジリエンスといいます。

大規模で工業化された食と農が地球を破壊してしまうのではないかーそんな危機感を持った自然のレジリエンスともいえる行動のひとつが、「私たちに野菜を食べさせる」ことだと思えるのです。

そんな壮大でアンビシャスなプロジェクトを実施する自然が、緻密な計算のもと「選んでくれた」野菜が、有機農家さんの畑で実っている野菜たち。

パック野菜とは、そんな野菜が、毎週、私やあなたの食卓に届くことであり、それを食す私やあなたは、自然のレジリエンスの一部です。

「選んでもない野菜を食べるのはイヤ」「野菜や食べものは選びたい」と思っている方も多いのは事実です。
ただ、スーパーなどで食材を「選んでいる」つもりでも、「誰かが選んだ選択肢」の中から選んでいるに過ぎません。

しかもその「選択肢」の選択基準は、食べる私たちの健康でも、私たちや子どもたちが暮らす環境でも、子どもたちの未来のためでもないことが多いことは、様々な食と農の研究者やアクティビストが指摘するところ。

安全農産供給センター社屋
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もちろん、スーパーを敵視しているわけでも、スーパーの役割を否定するわけでもありませんし、スーパーの取扱品をより「自然のレジリエンス」に沿った食材に変えていくことは大事なことだと思っています。そして、スーパーで手に取って野菜を選びたい、という方にとっても、「選んでいるつもりが実は自然のレジリエンス計画の一部で、私は自然の罠にはまって選ばされていた」というような世の中にしていく必要があると思っています。

届いた野菜を目の前にして献立を考えることー慣れない人には難しいですが、慣れると簡単です(多分)。

コツや知恵は失敗を繰り返して、少しずつ身についていきます(漬物スキルゼロだったこの私でもちょっとずつ身についてます)。

おもしろいことに、人は、経験や知恵を蓄積し、共有することによって満足感、幸福感、安心感を覚えます。

漬物クィーンと呼ばせていただきたいようなベテラン会員さんから、「もう、最初にたくあん作ったときは大失敗。まずくてまずくて。一人で泣きながら食べたわ」と聞いたとき、「あ、私失敗したけど、もう一度やってみようかな」と思えるのです。もしかしてこの気持ちも、自然のなせるワザ、かもしれません。

ぬか漬け
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大根を仕込む
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私たち人間も、自然という大きな手のひらの上でころがされている悟空のようなもので、今日の漬物の失敗も、明日の成功も、そんな自然の壮大なレジリエンスプロジェクトの一部じゃないのかなーそう思うと、なんだか気が楽になりワクワクします。

そしてその壮大なプロジェクトの先に、未来世代の子どもたちが誰も搾取したりされたりすることなく、幸せに暮らす社会の実現があるはずーそう思うからこそ、野菜を「選ばない選択」をオススメしたいと思っています。


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山本奈美さん
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posted by 使い捨て時代を考える会/安全農産供給センター at 11:44| Comment(0) | TrackBack(0) | 事務所